一般的に、食品などで「天然」「自然」などという言葉がついていると良いイメージを持ちがちですが、霊芝に限っては必ずしも当てはまりません。キノコとは言っても、シメジやエノキダケなどのように群生して生えるわけではないこと、胞子が発芽しにくいこと、ナラやクヌギといった特定の木の古木にしか生育しないこと、などから、霊芝が自然に発見される確率は、上記の木10万本に2~3本と言われています。加えて、天然の霊芝は、<雨風に晒されて有効成分が逃げてしまう><青カビが生えてしまう><収穫時期が難しい>などと言われているため、食用としては専ら、人工栽培されたものが安心と言われています。
中国における長い歴史を持つ霊芝ですが、意外なことに、人工栽培の方法を確立したのは日本の方が先でした。最初に試みられたのは1930年代後半、京都大学が中心機関となって行われましたが、残念ながらこのときは成功に至っていません。そして時は流れて1971年、直井幸雄氏が、種菌をオガくずにポット栽培するという方法で、初めて量産に成功しました。そしてその後、様々な研究者から霊芝人工栽培成功の報告が相次ぎ、1976年頃から全国各地で霊芝の人工栽培が本格的に実施されるようになり、1984年のピーク時にはなんと、年間250トンもの霊芝が生産されたそうです。現在は、ナラ・クヌギ・クリ・ウメ、などの原木を用いる榾木(ほだぎ)方法による露地栽培、あるいはハウス栽培が実用化されており、主流にもなっています。また、時を同じくして中国、台湾、韓国などへも人工栽培の方法が伝わり、徐々に人工栽培が盛んになっていきました。
霊芝の栽培には、寒暖の差が大きい地方が適している、という話を聞いたことがありますが、実際、北は北海道、南は九州でも霊芝の栽培は行われています。日本における霊芝の半分以上を生産しているのが中部地方(長野、岐阜、富山、静岡、新潟、等)で、中でも長野県は全国トップの霊芝栽培県です。中部地方に続いて生産量が多いのが近畿地方(三重、奈良、和歌山、大阪、京都、等)で、特に紀州梅で有名な和歌山県は、梅の木を使った霊芝を「古梅霊芝」と呼んでブランド化しています。何をもって霊芝の品質とするかは難しいところですが、今までのところ、栽培されたエリアによる成分的な品質の違いというものは、確認されていないようです。